(D)朝日新聞や報道ステーションはなぜ誤った

(D)朝日新聞報道ステーションはなぜ誤った報道をするのでしょうか?(D)朝日新聞報道ステーションはなぜ誤った報道をするのでしょうか? 電力各社の人件費と業界平均の人件費を記事では取り上げている。

 

例えば、年間平均給与は関西電力806万円に対し、ガス業界634万円、鉄道581万円と報道している。電力会社以外の企業では業界平均しか表示されていないが、業界平均ではなく同規模の会社の年収と比較すべきではないか。会社四季報の数字からいくつかの会社の平均年齢と年収を調べ、まとめてみた。

企業の平均年収、単位:万円、出所:会社四季報、*注:トヨタ自動車の従業員数は連結ベース

①会社名②従業員数③平均年齢④平均年収 の順

(A):①関西電力②20,538③41.1④806

(B):①大阪ガス②5,800③42.9④701

(C):①日立製作所②33,133③39.9④757

(D):①トヨタ自動車②324,747③38.3④727

(E):①JR西日本②26,849③40.3④672

(F):①東芝②37,062③41.3④778

(G):①NTTドコモ②11,165③38.6④812

 

 大幅な人件費カットが必要なほど、電力会社の賃金は高いのだろうか。朝日新聞の記事では人件費カットを行えば、電力料金の値上げ額がかなり圧縮されるような印象を受けるが、人件費が料金に占める比率は大きくない。次に示す通り事故前の東京電力の人件費が料金に占める割合は7.8%だった。顧問料の料金に占める割合は0.003%だ。無論、2億円近い資金は大金だ。しかし、料金へのインパクトは殆どない。この事実は、記事を読む人が持つ印象とは異なるのではないか。

東京電力の原価構成

出所:東京電力に関する経営・財務調査委員会の報告

①燃料費35.5%②購入電力費12.9%③減価償却費12.4%④その他経費12.1%⑤人件費7.8%⑥修繕費7.7%⑦公租公課6.2%⑧事業報酬5.4%

 

 必ずしも自社の責任とは言えない燃料費負担の一部を人件費の削減で行うことに従業員の同意は得られるのだろうか。人件費カットを主張する朝日新聞記者の理屈は何だろうか。紙の価格が上昇し、新聞代値上げとなる時には、人件費を削減するのが先というのが朝日新聞記者の考えなのだろうか。それとも必需品の電気では値上げはダメだが、新聞では値上げは許されるというのだろうか。商品のコストという点では電気も新聞も違いはない。朝日の事実誤認と印象操作は酷すぎる。